いつも、雨
領子は、まだ検査と処置の真っ最中だった。
廊下の長椅子に百合子と一夫が身を寄せ合って座り……恭匡は、要人に負けるとも劣らない酷い顔をして、ハンカチで涙を何度もぬぐっていた。
「社長……。」
一夫が要人を見て、立ち上がり、両手でガッと要人の右手を掴んだ。
そのままむせび泣く一夫の肩を、要人はポンポンと叩いた。
1人の女性を巡って、敵対してもおかしくない2人なのに、むしろ頼りにし合っているようだ。
「由未ちゃん……おばさま、死んじゃう……」
恭匡は、よよと泣きながら由未にしがみついた。
不吉なことを口にするなと注意したかったし、逆に、大丈夫と励ましてあげたかったけれど、どちらもこの場にはふさわしくない気がした。
由未は、子供をあやすように背中を撫でながら尋ねた。
「……救急車のなかで、おばさま、意識、戻られなかったの?一度も?」
「うん。救急隊員さんが声かけても、僕が呼んでも……ダメだった……。」
……脳に血が回らなくなってしまったのだろうか……。
助かっても、相当な後遺症が残ったりするのかもしれない。
いや、そもそも……本当に、助からない……?
ぶるっと震えが走った。
重苦しい空気は、看護師が出てくるまでずっと続いた。
「患者さま、落ち着かれました。意識も、少し戻られましたが、今夜はこのまま、集中治療室で処置させていただきます。ご家族のかた、面会されますなら、少しでしたら大丈夫ですので、もうしばらくお待ちください。……あ。先生が説明に来られるそうです。ご家族のかた……こちらへ。」
「行きましょ。社長。恭匡さん。」
有無をいわさぬ勢いで、一夫が、家族ではない2人に声をかけた。
しかし、要人は、安心感で膝から崩れ落ちた。
よかった……。
生きて、らっしゃる……。
「おじいちゃん。ほら。大丈夫?行くで!」
親戚ですらない薫も、要人を支える気満々で一緒についてゆくつもりらしい。
さすがに、由未は遠慮して、秘書の原のそばにいようとした……が……
「お願い!そばにいて!僕、無理!由未ちゃんいないと、無理!」
と、子供のように恭匡にしがみつかれ、渋々同行した。
大人数で小部屋に入り、2つしかない椅子には、ダメージが強すぎて立っていられない恭匡と要人が座った。
医師は、要人が領子の夫だと完全に勘違いしたまま、説明を始めた。
廊下の長椅子に百合子と一夫が身を寄せ合って座り……恭匡は、要人に負けるとも劣らない酷い顔をして、ハンカチで涙を何度もぬぐっていた。
「社長……。」
一夫が要人を見て、立ち上がり、両手でガッと要人の右手を掴んだ。
そのままむせび泣く一夫の肩を、要人はポンポンと叩いた。
1人の女性を巡って、敵対してもおかしくない2人なのに、むしろ頼りにし合っているようだ。
「由未ちゃん……おばさま、死んじゃう……」
恭匡は、よよと泣きながら由未にしがみついた。
不吉なことを口にするなと注意したかったし、逆に、大丈夫と励ましてあげたかったけれど、どちらもこの場にはふさわしくない気がした。
由未は、子供をあやすように背中を撫でながら尋ねた。
「……救急車のなかで、おばさま、意識、戻られなかったの?一度も?」
「うん。救急隊員さんが声かけても、僕が呼んでも……ダメだった……。」
……脳に血が回らなくなってしまったのだろうか……。
助かっても、相当な後遺症が残ったりするのかもしれない。
いや、そもそも……本当に、助からない……?
ぶるっと震えが走った。
重苦しい空気は、看護師が出てくるまでずっと続いた。
「患者さま、落ち着かれました。意識も、少し戻られましたが、今夜はこのまま、集中治療室で処置させていただきます。ご家族のかた、面会されますなら、少しでしたら大丈夫ですので、もうしばらくお待ちください。……あ。先生が説明に来られるそうです。ご家族のかた……こちらへ。」
「行きましょ。社長。恭匡さん。」
有無をいわさぬ勢いで、一夫が、家族ではない2人に声をかけた。
しかし、要人は、安心感で膝から崩れ落ちた。
よかった……。
生きて、らっしゃる……。
「おじいちゃん。ほら。大丈夫?行くで!」
親戚ですらない薫も、要人を支える気満々で一緒についてゆくつもりらしい。
さすがに、由未は遠慮して、秘書の原のそばにいようとした……が……
「お願い!そばにいて!僕、無理!由未ちゃんいないと、無理!」
と、子供のように恭匡にしがみつかれ、渋々同行した。
大人数で小部屋に入り、2つしかない椅子には、ダメージが強すぎて立っていられない恭匡と要人が座った。
医師は、要人が領子の夫だと完全に勘違いしたまま、説明を始めた。