いつも、雨
素直じゃない父と息子の、精一杯の謝罪……のはずなのだが、薫は、ちょっと笑ってしまった。



じろりと、原に睨まれて、薫は慌てて口を押さえた。






「……それで、お義父さん。お住まいは、どうなさるおつもりですか?……あの……橘のおばさまを、この家にお迎えするのですか?」


一段落するのを待って、希和子が尋ねた。



要人は、首を横に振った。

「ここは、佐那子の夢の家だから……さすがに、それはできんよ。……どこか、手頃な家を探すつもりだ。静かなところに。小さな平屋がいいかな。」


「……いくつか、候補地をピックアップしてますので、ご検討ください。」

秘書の原がそう言って、書類を出そうとした。



が、要人が手で制した。

「ありがとう。だが、まずは、領子さまにご了承いただかないと……。」


そこまで言ってから、要人は、薫の視線に気づいた。



……そう言えば、さっき、薫くんに言われたな……領子さまは頑固だから強引に状況を整えてしまえ、と。




くすっと笑って、要人は言い直した。


「いや。勝手に勧めてしまおうか。……来週、領子さまが退院される時に、そのままお連れできるように……すぐに準備してしまうとしよう。」


うやうやしく原がうなずいた。

「わかりました。では、早速」

「いや、いい。君には、会社を任せるのだから。……自分で、やるよ。」


原の言葉を遮って、要人はそう言った。




「お手伝いします。」

希和子がそう言った。


このなかで、自分だけが、会社と無関係だ。

トップダウンのオーナー企業で、突然社長が退任することになれば……明日から会社は大変だろう。

託された原だけでなく、義人達も、当分は忙殺されるはずだ。



要人は、うれしそうに微笑んだ。

「ありがとう。頼むとしよう。」


希和子は力強くうなずいた。




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夢うつつの世界からようやく目覚めると、領子は看護師と主治医に退院を急かした。

一日も早く、まいらに謝りたい一心だった。
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