いつも、雨
孝義は、鼻で笑った。


「アホか。学生は勉強しろ。成績下がったら、出入り禁止や。」


「ん!?てことは、成績キープしてたら、孝義くん家(ち)に行っていいの!?いいってことよね!?」


言質をとるべく、まいらは勢いよくそう確認した。



孝義は、意地悪い笑みを浮かべた。


「……薫、会社、手伝うんやろ?家庭教師いいひんくなるけど、大丈夫なんけ?」



まいらは、ちょっと首を傾げて……それから、ぽつりぽつりと言った。


「……なんかね……よく、わかってなかったんやけど……私、割と、頭、いいみたい。……今まで、全然、授業とか聞いてへんかったから、わからへんこと、わからへんまんま放置しててんけど……薫くん、教え方うまいし、……一つ一つの問題じゃなくって、勉強のやりかたを教えてくれはったから……教科書と問題集と辞典があれば、私、もう、教えてもらわんくても、勉強できるっぽい。……あ、それと、孝義くんも、そばにいてくれたら、完璧。サボれへんから、集中できるみたい。」


「……俺をオマケみたいに、つけ加えんといて。」


ふてくされたような孝義に、まいらは慌てた。


「オマケなんて思ってへんよ!むしろ孝義くんありきの勉強法!たぶん家で1人きりじゃ、集中できひんもん!」


自分の言葉に、ハッとした。


そして、まいらは、赤信号で止まった孝義の顔をのぞき込んで、訴えた。


「孝義くん家(ち)に、勉強しに来たい!邪魔せぇへんから!毎日は無理やろけど、とにかく、一緒に勉強したい!」



……やれやれ。


どこまでも図に乗る奴だな……。


半ば呆れつつも、孝義は……うれしかった……。



「……ご両親と、よくよく相談して、無理のない程度になら、かまわんよ。……ただし、成績落ちたら、終了、な。」


かつて、自分も親友の春秋(はるあき)とともに、毎日のように、竹原家で勉強会をしていたことを思い出した。


今から思えば、単に、一緒にいる理由がほしかったのだろう。



……まあ、動機は不純でも、勉強に張り合いができて、成績が上がり、みんな志望大学に行けたんだから、上等上等、結果オーライ。




喜びのあまり、座席でバウンドしてシートベルトに悲鳴をあげたまいらを盗み見て、孝義はこっそりほくそ笑んだ。


……まぁ、がんばれ。


お手並み拝見、やな。



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