いつも、雨
「せっかく、竹原とずっと一緒にいられるようになったのに……ごめんなさい。こんな身体で。」


要人は、医師から領子が性行為の危険性を説かれたことを思い出した。


「謝ることじゃありませんよ。別にセックスだけが愛情表現じゃない。激しいことは、もう、充分してきたから、これからは、優しく愛し合いましょう。」


「……。」



露骨に言われて、領子は何も言えなくなってしまった。



「領子さま?」


顔を覗き込まれ、恥ずかしさに慌てて背けた。



……かわいいなあ。


「こっち向いてくださいよ。顔を見せて。」


「……もう……。」


領子は、要人にひしとしがみついた。



これなら、赤くなった顔を見られなくてすむ。 

そのまま優しく背中を撫でられて……領子は、とろーんとしてきた。



……このまま寝てしまいそう。



「いいですよ。……おやすみなさい。」


「ん……」



安心したように、領子は本当に寝てしまった。



身体をひねった状態で……苦しくないのだろうか。



しばらく様子を見ていたが、完全に寝てるようなので、要人はそっと領子をソファに寝かせた。



風邪を引かないよう、タオルケットを掛ける。


安らかな寝顔を眺めているだけで、要人は幸せに満たされた。



一分一秒でも、2人の時間が長く続くことを、心から祈った。




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短い秋が通り過ぎ、冬が来た頃。


……突然、領子に異変が起きた。



いつものように、要人にもたれてうたた寝をしていて……目覚めた領子は、笑顔で言った。 

「ごきげんよう。お兄ちゃん。」



最初は、ふざけているのかと思った。


しかし領子は至って真面目に訴えた。


「こんなに寒いと、鴨五郎さん、凍えちゃわないか心配。あったかいもの、持って行ってあげたいの。」


……は?

鴨五郎?


懐かしい名前に、要人は、一瞬ぽかーんとした。



かつて……かれこれ50年以上前に、鴨川の橋の下に住んでいたホームレスで、要人に株を教えた恩人だ。


もちろん、とうの昔に死んでいる。



……これは……まさか……。


自分の心音が聞こえるぐらい緊張してきた。
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