いつも、雨
霊感が強いというと語弊があるが、少なくとも自分たちには計り知れない気配を、昔から娘は察知することができた。


「……怒らないであげて。おじいちゃん、橘のおばさまと、生きるも死ぬのも一緒だって、ゆってた。……おばさまも、おじいちゃんも、一緒に死にたいって。だから……怒ったり恨んだりしないであげよう?」


まいらの言葉に、義人は……心情を吐露した。


「……それでも、おばさまを看取った後は、ここに帰って来てくれると思いたかったんやけどな……。うちも、会社も……まだまだ、お父さんが、必要やったのに……。」



最後の最後まで、家族より、最愛の女性をとった実の父親を、それでも義人は、待っていたのだ。


……泣いてすがってでも引き留めるべきだったのかったかのかもしれない。




「もう……遅いのか?」


義人の問いに、まいらは黙ってうなずいた。


「お父さん……おばさまの後を追って……自殺したのか……?」


わかっていても、聞かずにはいられなかった。




まいらは、ぽろぽろと新たな涙をこぼして……それからおもむろに合掌した。




義人は呻いた。


「……自殺したら、極楽行けへんのちゃうん……」



自分でも何を言ってるのかわからない。


母を亡くして、まだ一年たっていない。


会社だって、原新社長が奮闘してくれてはいるものの、まだ突然の社長交代の混迷を脱していない。


何もかも、早すぎる。





「……とにかく……行ってくる。……独りで、行ってくる。」


父の遺体を、他の者に見せるわけにはいかない。



義人は、領子の主治医を途中で拾い、要人と領子の眠る別荘へと向かった。


新雪が町を白く塗りつぶして、なお、降りしきっていた。


主治医は、何も言わずとも、要人の分の死亡診断書も準備していた。
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