君の声が、僕を呼ぶまで
たくさんの生徒と同じように、吸い込まれるように校門をくぐる。

ざわついている昇降口で、上履きに履き替える。

いつもなら誰もいない静かな時間に、そのまま、渡り廊下の方へ行く。


でも、今日の目的地は保健室じゃない。

今日こそは、桜子ちゃんと一緒に、教室へ入るんだ。


目の前の階段が、やけに大きく立ちはだかって見える。

桜子ちゃんの、3段下を着いて行く。


一段一段登る度に、心拍数は二倍三倍跳ね上がる。

一つ二つ、足に重りが増えていくようで、決意のゲージがどんどん落ちていく。


階段、こんなに長かったっけ…。

こんなに、薄暗かったっけ…。
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