君の声が、僕を呼ぶまで
「あ、雪人先生」

中庭に面した保健室の窓から、塚原先生が手を振っている。

小春は先生に駆け寄って、何か楽しそうに話している。


「…妬ける?」

「わぁ!?」

それをジィッと見ていた僕の背後から、桜子が突然声をかけてきた。


「そんな事は…」

「智秋、小春に好きって言わないの?」

「んー。小春が世界に慣れるまで、ゆっくり待つよ」

桜子は、優しい顔で頷いてくれる。


「智秋、桜子ちゃん、雪人先生が棚の整理を手伝って欲しいって」

「はぁい」

桜子が歩き出す。
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