君の声が、僕を呼ぶまで
「えー、まず、知っての通り、うちの学校の硬式テニス部の方は、県大会でも上位に入るほどの実績を持つ事から優遇されている、名実ともに我が校の公式なテニス部だが、」


新入部員たちが、きょとんとした顔をする。

「…公の方って意味ね」

「あぁ、なるほど!」

完全に滑った上に、ボケの説明を強いるなんて、今年の新入部員達は芸人殺しだな。

あ、俺、芸人じゃないんだった。


自分でもわざとらしいと思ったが、コホンと咳払いをして続ける。

「えー、それに比べて、見ての通り、うちの方は存続が危ぶまれている難式テニス部です。あ、難しいの難ね」

えぇい、ヤケクソよ。

今度は先回りして、捕捉しておいてやる。
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