幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

仕事の準備を始めた飛駒に一応手を振る。
飛駒も片手を上げて、一瞬だけぎゅっと私を抱き締めると葵くん達の方へ行く。
……ほんと、たった一瞬で私の心臓を奪ってしまうんだから飛駒はずるい。

「じゃあな、葵。パパと仲良くしてやるんだぞ」
「おい、調子に乗るなよ。お前が居ないときにお前の美優初恋エピソードを語り尽くすぞ」
「両想いなので、どうぞ」

お兄ちゃんの意地悪な言葉に、一瞬だけたじろいだくせに笑顔で交わし、私に意味深な視線を送った後飛び出していった。

「お前……あの初恋ストーカーについにほだされたのか」
「初恋ストーカーって凄い言葉だね」

「はつこいすとーかーってなに?」

「葵くんは知らなくていい、悪い言葉だよ」

私のふみ台の上で首を傾げる葵くんが可愛くて、ついつい誤魔化した。
お兄ちゃんは、洗い終わりシンクをサッと拭きながら呆れたような諦めたような感慨深いため息をした。

「俺も丸くなってしまったようだ。昔なら問答無用で飛駒の顔を殴っていたのに」
「葵くんの前で止めて」
睨むと、悪いと片手をあげて謝る。
その姿さえ、お兄ちゃんのファンクラブがあった学生時代なら黄色い声で騒がれていただろう。


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