幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

「飛駒も喜びます。飼い主が見つからなかったら大変だって言ってたので。見つけてくださった方が予防接種等の負担はしてくださってるみたいです」

「あらそうなの。どの子にしようかしら。会ってから決めようと思ってるから楽しみだわ」

「……だめ!」

園長先生のエプロンを掴むと、葵くんは首をブンブンと振った。

「ママとはなさないで! ままとはなれたくないよ! だめだよ!」

何度も首を振る葵くんに、園長先生が一瞬固まってから掴んでいた手をそっと握る。

「葵くんはママと離れるのが嫌なのね?」
「うん。でもふえたらもらわれちゃうんでしょ。かわいそう。だめだよ」

園長先生が何か小さく囁くように話しかけても、葵くんは首を何度も振るだけだった。
七村先生がやってきて葵くんを抱き抱えると、園長先生は頭を優しく撫でて私の方へやってきた。
「……葵くん、幼稚園の方でも怪我してましたよね。やはり母親が入院していることが相当心にダメージを与えてますね。今日はお父さんにお迎えに来てもらいましょう」
「えっと、兄は今日は多忙でして、無理かと」
 何時に帰れるかも分からないと、へろへろな今にも倒れそうな姿で笑っていたのに。
「市井さん。葵くんとお兄さんのお仕事、お兄さんならどちらを優先されるんですか?」

静かに怒ってらっしゃる園長先生の声に、私は恥ずかしくなって小さく息をのんだ。
こんなときに、身内だからとよけいなことがいくつも頭を過った。

「貴方じゃ駄目なのよ。葵くんが傷ついてるのは、振りまわしている家族の責任なんだから」

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