幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

その言葉に、今まで飛駒と私と葵くんが一緒に過ごしていた時間が偽物だと否定されたようで涙がこみ上げてきそうだった。

「兄に電話してきます」

確かに家族ではないかもしれない。でも私は、葵くんのそんな環境の中で懸命に我慢する姿を助けたかった。私だけでも良いから甘やかしたかった。
頑張っている葵くんを分かっていたつもりだったのに。

「……お兄ちゃん、そういうわけなんだけど」

涙を拭きながら、声は震えないように伝えたと思う。
ワンコールで電話に出た兄の後ろから、外国語や電話の鳴る音、話声が聞こえてきて邪魔してしまった罪悪感を感じてしまう。
もう少し私が葵くんを分かってあげていたら誰にも迷惑をかけなかったのに。

『大丈夫だ。俺は息子と嫁に何かあったら全部放り投げて家族の元に向かうと、最初に全員に断ってるからな』
だからワンコールで電話を取ったんだと、力強く笑った。
『お前も気にしないでいいから、安心して飛駒の病院へ迎え。俺は葵とその子猫の元へ向かうから、帰りに瞳の病院に寄ってから皆でメシでも食べて帰ろう。飛駒抜きで』
「……お兄ちゃん」

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