幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「美結がどんだけ頑張ってくれても、産んで育ててくれた親の方が葵を愛しいんだしこの状況も辛いし、葵だって分かってるんだ。俺たちは所詮疑似だし」
涙をなぞった手が、頬を包み込んでくれる。
急に向き合って両手で私の顔を包むと、蕩けるように甘く笑ってくれた。
「だから、俺達も本当の家族になろう。そうしたら葵みたいにならないよう子ども達を全力で愛してやろう。で、理解してやるしかないんじゃねえの?」
「……うん」
「まあでも葵のことは、俺たち自分の恋愛以上に優先してんだから、きっと葵も大きくなったら分かると思う。別に見返りが欲しくて世話居てるわけじゃないし、今のままでいいよ。な」
包み込んだ手が、飛駒の顔が、私を安心させてくれる。
見透かされてそうで、睨んでくる飛駒の瞳が怖かった。
でも今は、素直になった今は分かる。
私の事を分かってくれようと真っ直ぐ見てくれている飛駒の温かい眼差しが、私を包み込むように守ろうとしていること。
見ようとしたら、見えてきた。
飛駒の色んな顔や、言葉。
それが全て私を幸せにしてくれる。
「先生、甥ッ子さんが来ました。子猫たちが見たいらしいのですが」
「ああ、すぐ行くよ。通していいよ。消毒台とマスクだけはさせて」
看護士さんがノックしてドアを半分だけ開けてそう告げると、飛駒はフッと仕事の顔に戻る。
その仕事中の真剣な顔も嫌いではない。
「お兄さんは車かな? 葵は受付から来たの?」
飛駒も手を消毒しながら看護士に尋ねると彼女は首を振った。
「いいえ。一人で入ってきて、すでに消毒してマスクして入院してる部屋の前で待ってますよ」