幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「子ども一人では危ないですよ、すぐに中へ」
「でもとてもいい子ですし、大丈夫ですよ」
にこにこと看護士さんは言うと、飛駒は慌ててペットたちが入院している部屋へ向かう。
確かに葵くんは良い子だけど、入院や怪我でストレスを持ってる子たちは噛みついたりするかもしれない。
そう思っていたら、裏口の扉に人影が映った。
休憩室から出て、数歩先にある裏口に恐る恐る近づく。
一応、裏口には暗証番号で入る門があるから、きっと藤森さんやほかの看護士さんや医者だと思っていた。
お兄ちゃんの顔を見るまでは。
「お兄ちゃん!?」
「お、待ったぞ。早く入れてくれ」
お兄ちゃんがまたもボロボロな様子で小さく手をあげた。
昨日は葵くんが眠ったと同時に眠り、朝早くから出掛け疲れていないわけはない。目の下にはうっすら隈さえ見えている。この顔を見てしまったら、いくら元気な様子の兄を見ても葵くんも我慢してしまうかもしれない。
「葵くんはもう先に入ってるのに、お兄ちゃんは裏から来たの?」
「は? 葵は車の中だぞ。運転中に眠っていて着いたから起こしたら、俺が先に裏から声をかけてって、――え?」
お兄ちゃんが車へ戻るのと、看護士さんの悲鳴が聞こえるのはほぼ同時だった。
バタバタと走る音が私に近づいてくる。
振り向くと、血相を変えた飛駒がそこにいた。
「葵が子猫を連れて逃げた」
「え?」