幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
するとお兄ちゃんは私の方を振り向いて、首を振った。
「お前は察してやるのが上手いのは分かるが、それは葵の口から言わせてやってくれ。分かってくれる存在も大切だけど、俺はいつでも葵の本音を聞ける親でありたい」
葵-っと大きな声でお兄ちゃんが叫ぶと、雑草が生い茂る奥で、ガサガサと音がした。
アスレチックは、らせん状になった木の階段の一番上に滑り台がある。
その一番上を子猫用のベビーカーを両手で持って上がっている葵くんがいるのが見えた。
「葵っ」
「葵くんっ」
二人同時に声をかけると、葵くんはびくっと大きく身体を揺らした。
そしてすぐに私たちを目で捉えると、急いで高い段差になっている螺旋階段を上り、ベビーカーを上へ持ち上げる。
上は落ちたら危ないから私も大声で叫んでいた。
「母親猫の容体が悪いの! 子猫を連れて帰ろう」
「いやだ。かえしたら、かぞくがばらばらになっちゃうの!」
ベビーカーを自分の背に隠すと、階段の手すりから身を乗り出して私と兄に帰れと言わんばりに手をブンブン振りまわす。
「葵、確かにお前に寂しい思いはさせた。我慢もさせた。いっぱい一人で泣かせたかもしれない。それは俺が悪い。お前やママを守れなかった俺が悪い。お前のせいじゃない」