幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

「大丈夫か? 美結」

去っていく葵くん達を放心状態で見ていた私は心配そうに顔を覗きこまれて、ぶわっと涙が浮かび上がった。
泣いている葵くんの声にかき消されて、夕日の中に沈むようにただただ堕ちて行く涙が、夜にしみ込んでいく。
ただただ恥ずかしくて、声を出して泣けなかった。

「飛駒は、私を凄いって言う。尊敬するって言う。でも私は本当はまだまだ経験不足だし、全然葵くんの気持ちわかってあげてなくて、こんな時どんな言葉をかけたら安心してくれるのか全然わからなくて」
「うん」

夜にしみ込んだ涙の隣に寄り添うように、優しく相槌を打ってくれた。
ただ、ただただ黙って私の恥ずかしい言葉を吐露するだけの場面を聞いてくれていた。

「結局、こんなふうに周りを巻き込んで葵くんが怒られるまで私は何もできなかった。恥ずかしい」

「いや。あれはしょうがねえよ。葵だって分別は覚えなきゃいけない。母親猫と離したくないなら、葵は全匹の猫を育てる大変さを知らなきゃいけないし。まあ、でも子どもだからって線引いて、どこまで教えていいのか悪いのかって本当、俺達って分からねえよ」

うんうんと飛駒は一人で納得した後、私を子猫ごと抱え上げた。

「分からねえから、二人で成長して行こう」

全部、一緒に背負うし、一緒に考えるし、包み込んでやれるよ。

飛駒が耳元で甘く囁く。

私と子猫を抱き抱えて、ふらつくこともなく颯爽と歩いてくれる飛駒に私の気持ちも溢れていく。

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