幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!


キャリーバックの中で壁をカリカリと引っ掻いている子猫は、つぶらな瞳をきらきら輝かして暴れ回っていた。
これはかなりヤンチャそうな子だ。

「またお姫様だっこして園長先生のとこまで行く?」
「行くわけないじゃない」
「恋人ですって説明できるじゃん。もうお前を合コンに誘う奴はいなくなるぞ」

にっこりと笑う飛駒は、さっき私が合コンに誘われたのが本当に嫌だったようだ。
今のテンションなら本当にお姫様だっこされそうで、身構えてしまう。

「さ、さっさと子猫渡してこないと、夜ごはん作る時間無くなるよ」
「そうだった。オムライスを特訓する時間なくなるな」

今日は、飛駒が自分の開業した病院の近くに寝に帰っているだけのマンションで、オムライスを作ることになっている。
前回、葵くんのためにチキンライスの上で包丁で切ったら卵がとろってなるオムライスが無残にも失敗した。とろっととろけないオムレツを乗せただけのチキンライスにしかならなかった。
ので、今日は色んな動画や料理本を見つつ練習する予定だ。

寝るだけの家とはいえ、飛駒の家には居るのは初めてなので緊張してて、七村先生の言うとおりちょっと甘めのワンピースを選んでしまった。
子ども達と散々遊んだ後のぼさぼさの髪はどうにもならなかったから似合ってないかもしれないけど。

でも白衣を着たまま慌ててきた飛駒よりはましかもしれない。


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