幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

突然の園長先生の言葉に慌てるが、飛駒は身を乗り出して嬉しそうに語りだした。

「いつにしましょう。姉夫婦が落ちついたら結納はしますんで、それ以降だから来年の春には――」
「ば、ばか! 帰るよ」

葵くんやお兄ちゃんが居ない時にデートするぐらいで全然結婚なんてまだまだ先なのに。

「もう。置いていくからね」

「俺の家、分かるの?」

意地悪な言葉で私の反応を見る飛駒の余裕ある顔は、ちょっと腹が立ってしまう。


言い争いしつつも、信号の度に私の右手を握ってくる甘えん坊な年下幼馴染みとのドライブはあっという間に過ぎた。
保育園からは車で15分ぐらいの駅の近くに、飛駒の住んでいるマンション。
そんな近い距離に、この4月から居たんだ。
飛駒は開業して忙しくてそれどころじゃなかったかもしれないけど、それでも私たちはもしかして何回も擦れ違っていたのかもしれない。

「うわー……保育園まで直通のバスもマンションの前にある」
「いいだろ? これで自転車とバスと通勤が選べるぞ」

「……別に此処に住むわけじゃないじゃん」

< 168 / 172 >

この作品をシェア

pagetop