幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
車から降りて、エレベーターに乗り込みながらそう言うと、飛駒は首を傾げる。
「なんで? あのマンション出てから、一人暮らしするつもりだったの?」
「ふ、普通はそうでしょ」
「どうせ結婚するんだから、一人暮らしするの無駄無駄。俺のマンションに来てよ。部屋余ってるから」
……そんな言葉は、ちゃんとプロポーズしてから言うべき発言だ。
今、兄夫婦や葵くんが大変な時に同棲なんて認められるわけないじゃない。
うちの親やお兄ちゃんは、絶対同棲するぐらいなら結婚しろって言う。
「さ、入って入って」
22階建てマンションの18階に降りて、飛駒の部屋に緊張しつつ入る。
が廊下はずらっと壁に段ボールが並んでいた。
「……なにこれ」
「いやあ、開業してから本当忙しくてさ、寝室のベッドの上ぐらいだよ。整理整頓してるの」
「そんな忙しいのに、葵くんのお世話手伝ってくれたの?」
全く開けた気配のない段ボールが並ぶ廊下を歩きながら、じわりと胸が熱くなった。
「下心あったからね。美結と疑似結婚生活できるじゃんって。で、正解だった。朝起きて隣に好きな人が寝てる生活って本当幸せだよ」