幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
例えば校舎内ですれ違う瞬間に目が合えば睨まれる。
体育で外で走っていて、校舎を見上げていたら窓から睨んでいた事もある。
クラスでは人気者で、一つ下のくせにうちの学年でも飛駒を格好いいっていう女子は多かった。
でも、皆に笑うのに私には睨むだけ。
「はあ。あんたが可愛かったのって葵くんぐらいまでよねえ」
「なんだよ、急に」
「別に。それじゃあ明日、葵くん迎えに来てね」
自然に、目も合わせないまま逃げるようにそう告げる。
そそくさと私は目の前のレストランへ逃げ出そうと決めていた。
「待て。姉貴はすぐ後ろの病室にいるんだぞ。約束破ったら、どうなると思ってるんだ」
「汚い! 瞳さんを使って脅さないで。私は飛駒と付き合ってるふりなんて絶対に無理。嫌」
「みゆおねえちゃん?」
ハラハラとした顔で私と飛駒を交互に見る葵くんに、ハッと気付いて笑って誤魔化す。
「さあて、お腹空いたから食べようね。そうだ、あそこってプリンパフェが美味しくってね」
「美結」
短く、けれど宥めるような口調で私の名を呼ぶ。