幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

さっきまでの、心底嫌そうな顔はどこへやら。
少しだけいつも通りの意地悪で、自信満々で、強引な飛駒の顔に戻っている。

それから、家に帰ると葵くんは嬉しそうで、進んでお手伝いをしてくれた。
きのことベーコンのパスタに、刻み海苔を振りかける役を頼んだら、まるでイカスミパスタの様な真っ黒な盛り付けになっていて、それが葵くんの嬉しい気持ちを映しだしていて、海苔味のパスタは美味しかった。

「なあ、美結」
「何―? お風呂ならあと五分だよ」

食べ終え食器を洗っていると、パジャマを取りにった葵くんの背中を見つめていた飛駒が、テーブルの椅子をくるっと回転させて私に向き直る。
そしてカウンターに顎を乗せると、私の顔に穴をあけたいのかじいっと見てきた。

「明日、休みなんだよな?」
「うん。休みだけど」
「赤ちゃん猫見に来いよ。そろそろ里子探せるぐらい回復してきたし」
猫ときき、バッと顔をあげてしまう。

猫の赤ちゃん……。絶対可愛い。

「用事がなかったら行く」
「無くても来いってば。因みに明日は予防接種の日だから昼休みの時間確保できるんだよね。美結の手料理食べたいなあ」

「お弁当が狙いなんじゃない」

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