幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
自慢じゃないが、仕事が忙しい日は自分のお弁当さえ作らなくなるほど適当な私だ。
そんな期待に応えられるような可愛らしいお弁当が作れるわけない。
「午後は予防接種の犬しか来ないからゆっくり時間がとれるからんだ。休みの美結も一人占めしたいんだってば」
「年下みたいに甘えて来ないで」
「年下だってば。いいだろ、なんなら一緒に出勤する? 車に乗せるよ」
「仕事場でしょ。素人を連れていくってなに? 動物の命を預かる仕事でしょ」
ふいっとそっぽを向き、食器を戸棚に仕舞うと、背中にちくちくと視線を感じる。
悲しげなため息まで吐かれてしまった。
昔はそんな風に感情をすぐ出さなかったくせに。いつも格好つけてクールぶって。
「じゃあ赤ちゃん猫見に来るだけで良い。一瞬で良いんだ。仕事中の俺を見たら、きっと美結も俺を好きになってくれるから」
自意識過剰男。ナルシスト。
なんでそんな自信満々に言えちゃうの。
「てなわけで、先に葵を説得してこよっと」
「あ、ずるい」
「葵―! 明日、猫見に来るだろ」
「ちょっと! 飛駒ってばっ」