幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
ハンカチで目元を押さえていた女性に、飛駒は柔らかい口調で励ましていた。そして子犬を撫でる仕草が優しくて、温かくて思わず言葉に詰まった。
「奥で説明しますよ。入院手続きやらありますが保険効きますんで」
いつのまに現れたのか、私の隣のドアをあけて藤森さんが診察室へ入って行く。
髭も剃られ、パリッとした白衣に着替えて爽やかに笑っている。
さっき休憩室に居た人とは別人のようだ。
「飛駒、休憩行っていいよ。奥さん待ってるし」
「お、奥さんじゃないってば!」
「悪い。あとはよろしくな」
飛駒は否定なんてせず、こちらもマスクを顎まで下げるとご機嫌よくこちらに戻って行く。
「えー、日向先生じゃないのお」
「うっせ。腕は俺の方がいいんだよ」
「俺の腕が悪いみたいに言うなよ」
待合室から飛んできた言葉に藤森さんが噛みつくと、飛駒と待合室からは笑い声が聞こえてきた。
「悪い。皆、今日は少ないと嗅ぎつけてきたのが急に現れてさ。午後からはほんと、二件だけだし。夜勤の医者くるよ」
「他にもいるんだね」
「二人じゃ足りないからね。上でリハビリ見てくれてる看護師と受付事務と系10人ぐらいかな。過労しない程度かな」
手袋をゴミ箱に捨て、白衣をハンガーにかけて休憩室のロッカーへ入れながら何でもなさそうに言う。
けれど私には今、目の間で見ていた飛駒の姿に内心、ドキドキしていたのは内緒だ。
「美結?」
いや、もしかしたらもう上手く隠せないかもしれない。