幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「飛駒……」
「美結も、殴りたくなるぐらい嫌って感じじゃないから、だから俺もグイグイ行くよ。今追いかけなきゃ、逃げられそうだから。だからこの腕、離さない」
確かに嫌じゃない。けどそれをとっくに見透かされていたんだと思ったら顔に全身の熱が集まり真っ赤になってしまった。
確かに怖かった。目つきが怖かったのに。
なのに今の飛駒は違う。別の意味で、この腕を握り返すのが怖いけど、……今の飛駒は優しくて強引だけど頼りになって。年下だなって一瞬だけ見せる子どもっぽさを、時折全く見せなないで大人の男として私の隣に立とうとする。
どうしよう。此処まで飛駒が真剣に言っているのに、私は躊躇していた。
恥ずかしいというのが合ってるのかな。こんな時にどんな対応が正解なのか分からない。
「おーい、飛駒、タイマー鳴ってるぞ」
「……やべ、麻酔が切れる時間だ」
診察室から藤森さんの声がする。そのあと患者さんから『ペットの前で大声禁止』と怒られ、謝っている声がした。
「悪い。こんな場所で言うセリフじゃなかった」
「私こそ、その……」
「診察室開けてさ、美結が目の前に飛び込んできた瞬間に浮かれてテンションあげ過ぎた。悪かったよ」
しょぼんと肩を落とした飛駒は、それでも私の手を離さなかったが立ち上がった。
「来て。麻酔後の容体確認して、保育器にいる子猫も見せてあげるから」
「うん」
ぎこちない距離と笑顔、震えた声と熱くなっていく指先。
ここまで誠実に向き合ってくれている飛駒に、私も真っ直ぐ向き合っていかなきゃいけない。
高鳴る鼓動がそう私を促した。