絶望の空の色
“まさかこんなところで”
再会したお互いの印象は、多分これだ。
恭平くんは私の職場を知っていたし、系列だとしてもここにいるとは思っても見なかったのだろう。
対する私も、まさかここで恭平くんを見ることになるとは思っても見なかった。
予約リストに名を連ねた“日野恭平”という文字に、確かに心がヒクついたけれど、珍しい名前でもないから、同姓同名も考えられたし、まさかこんなところにいるなんて考えてもいなかった。
それでもそこはお互いにいい大人で、尚且つ恭平くんの横には婚約者が、まして私は仕事中だ。
驚いたのはお互いに一瞬で、静かに私は仕事を再開する。
一番の笑顔で出迎え、自慢の式場を、自慢の仲間たちと作り上げるここで挙げる結婚式の魅力を存分に伝える。
もちろん、二人の話に相槌をうち、盛り上げることも忘れず、こぼした小さな要望も頭にいれておきながら。
彼女はとても可愛らしい人だった。
くるくると表情が代わり、幸せに満ち溢れている。
朗らかさがあり、たまに、恭平くんをどついてみたり。
そんなふたりを見てももう、私の心は痛むことはなくて、このふたりを祝福したいと心から思う。
それは、他のお客様へ向ける心と寸分の違いもなく。
彼の横には彼女が相応しいと心から頷いた。
彼女はとても気に入ってくれて、式場見学はここが初めてだと言っていたにも関わらず、私に任せたいと言ってくれた。
恭平くんは戸惑っていたようだけれど、彼女の希望には逆らえないらしくて、めでたく成約の運びとなる。
そして私はこのお式が、きっと今までで一番の仕事になるだろうことを予感したいた。