小倉ひとつ。
でも私は敬語だって、いつも間違えていないかって不安で、尊敬語と謙譲語が混ざっていたらどうしようって、探り探り話している。


突然話を振られると、素が出る。


話題だって、うまく振れないときがある。


私は大学生だから、お仕事のことはちゃんとは分からない。まだ、社会人じゃない。


でもそれは、私の勝手な甘えなんだろう。


自分ではもう子どもじゃないなんて思っていたけれど——瀧川さんから見れば、私は充分子どもだろう。


二十歳そこそこの。まだ大学生の、八つも年下の、店員の。

私って一人称で話す程度の知り合いの。

敬語もおぼつかないような、ただの、年下の女の子。


……女性というよりはきっと、本当にただの女の子。


送りますと引きとめられたけれど、曖昧に笑って、ありがとうございます、大丈夫です、と辞退しておいた。


明確な線引きを知ってしまった以上、もうどんな顔をしておけばいいのか分からなかった。


曖昧に笑うので精一杯で、でも、ここで送ってもらったら、もっと好きになる。苦しくなる。
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