小倉ひとつ。
いただきますをふたりで言い、もぐもぐご飯を食べながら、今日のお互いの報告をする。


「今日ね、以前いらしたときに次も是非あなたにお願いしたいって言ってくださったお客さまがね、久しぶりにいらしたの! あなたにお会いしに来ましたって言われて、冗談とかお世辞とかかもしれないなとは思うんだけれど、すっごく嬉しかった」

「えっすごい、冗談兼本心じゃない? よかったね、お祝いしようお祝い。何がいい?」

「じゃあ、明日の朝はたい焼きオムレツがいい」


私が夜ご飯を作ったら、朝ごはんは要さんが作る。お昼とお休みの日のご飯はともかく、平日のご飯は交代制。


「了解。あとは?」

「えっ、もうひとついいの?」


くすくす笑いながら「ひとつでもふたつでもどうぞ」と言われては、贅沢を言ってしまいたくなる。


「ええと、ええーと、じゃあ今度の週末お出かけしたい」


ひねり出した答えに要さんがいよいよ肩を震わせた。


「えっなんで笑うの!? 駄目だった?」

「いや、全然駄目じゃないんだけど、かおりはいつもお祝いがご飯とお出かけだなと思って」

「だって、要さんとお出かけするの楽しいし嬉しいから」
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