【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
「羽泉、千咲、アルくん、トモ、千瀬。
……織春から、ホームルームでサボるから空き教室で待っててって伝言されたわよ」
先に教室にもどっていた5人に、そう声をかければ。
報告かな~なんて言いつつ、そそくさと動き出す。
「つーかオメー何持ってんだよそれ」
「織春に持っといてって頼まれたの」
「その張本人は呼び出してどこ行ったの」
「由真ちゃんに声かけて、どこか行ったわよ」
そう言っただけで、みんな察したような顔をする。
知ってたなら、由真ちゃんが織春の元カノだったこと、誰かひとりぐらい教えてくれても良かったのに。
「お前ら、
サボるってなったときだけ無駄に集まんの早ぇな」
空き教室に集まって、数分後。
ガラッと扉が開いて由真ちゃんが飛び込んできたかと思うと、わたしに抱きついて満面の笑みを見せてくれたから、何があったのか言われなくてもわかった。
「莉胡ちゃん~っ……
どうしよううれしすぎるよ……!」
「ふふ、よかったわね。おめでとう」
ぎゅうっとわたしよりも身長の低い彼女を抱き締め返してあげていたら、「何やってんの」と千瀬のあきれたため息。
これが千瀬だってわかってたから朝から何も言わなかったけど、彼女になっても扱いは変わらないらしい。
……ちょっと。 いや、結構?
甘さは、アップするみたいだけど。
「──東のトップと、話がついた」