旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「あれ、もしかして知り合いだった?」
「知り合いもなにもこの男……むがっ」
結花に先日のことを言おうとすると、彼はすかさず右手で私の口をふさぎ、にこりと笑顔を見せる。
「この前仕事の関係で行きあったんだ。けどこんな風に再会するなんてびっくりだよ」
「そうだったんですか。ならよかったです。じゃ、杏璃!私は帰るから!」
関さんのにこやかな言葉を聞いてすぐ帰ろうとする結花に、私は口を塞ぐ手から逃れ、結花の薄手のジャケットをガシッと掴む。
「え!?一緒にいてくれるんじゃないの!?」
「3人でデートしてどうするの!じゃ、仲良くね!」
「まっ待って……」
ところが結花はその手をバッと払うと、躊躇いなく急ぎ足でその場を去って行ってしまった。
そ、そんな……待ってよ結花ー!!
心の中の叫び声もむなしく、その場には私と関さんのふたりだけが残される。
先日の彼が玲央さんに対しておこなったこともあり、不快感を隠すことなく睨むと、関さんは『どうするかな』とでもいうかのように頭をかく。