旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「あれ、もしかして知り合いだった?」

「知り合いもなにもこの男……むがっ」



結花に先日のことを言おうとすると、彼はすかさず右手で私の口をふさぎ、にこりと笑顔を見せる。



「この前仕事の関係で行きあったんだ。けどこんな風に再会するなんてびっくりだよ」

「そうだったんですか。ならよかったです。じゃ、杏璃!私は帰るから!」



関さんのにこやかな言葉を聞いてすぐ帰ろうとする結花に、私は口を塞ぐ手から逃れ、結花の薄手のジャケットをガシッと掴む。



「え!?一緒にいてくれるんじゃないの!?」

「3人でデートしてどうするの!じゃ、仲良くね!」

「まっ待って……」



ところが結花はその手をバッと払うと、躊躇いなく急ぎ足でその場を去って行ってしまった。



そ、そんな……待ってよ結花ー!!

心の中の叫び声もむなしく、その場には私と関さんのふたりだけが残される。



先日の彼が玲央さんに対しておこなったこともあり、不快感を隠すことなく睨むと、関さんは『どうするかな』とでもいうかのように頭をかく。


< 119 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop