旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……とりあえず飯でも行くか?せっかく結花ちゃんが取り持ってくれたんだし」
先日の丁寧な言葉遣いとは違う、その少しくだけた話し方のほうが素なのだろう。
「嫌です。あなたと食事するくらいなら帰ります」
「そう言うなって。来いよ」
「は!?ちょっ、離して……」
引っ張るように歩き出す関さんに、その腕を振りほどくことが出来ずに連れられていく。
そしてそのままやってきたのは、新宿駅から程近い場所にある、小さなイタリアンレストラン。
高級、というよりは隠れ家的なおしゃれなそのお店の個室で、渋々彼と向かい合い座り、私は運ばれてきたシャンパンをひと口飲んだ。
もちろん、彼と乾杯などはせずに。
「こちら本日のおすすめディナーコースの前菜、サーモンとアボカドのマリネになります」
店員さんがテーブルの上に並べてくれるのは、サーモンのピンク色とアボカドの緑色が彩りよく飾られたマリネ。
絡んだドレッシングの酸味のある香りがまた美味しそうだ。
美味しそう……だけど!こんな男の前で気を許し食事をするわけにはいかない。
料理を見つめながらも、食べたい、という正直な気持ちをぐっと堪える。
「食わないのか?美味いけど。心配しなくてもこれくらい奢ってやるよ」
「た……食べるわけないじゃないですか!あなたなんかと食事なんて、せっかくの美味しいご飯もまずくなります!」
ふん、と拗ねたように顔を背ける私に、関さんはつまらなそうにこちらを見た。