旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「あなたに奢ってもらわなくても、これくらい払えますから!!」
そしてそのまま部屋を出ようとした、その時だった。
その手は私の腕をガシッと掴むと、引き止める。
「なに!?まだなにか……」
『まだなにか文句でも!?』、そう喧嘩腰で言おうとした。けれど関さんは、濡れた顔をずいっと近づける。
「……俺にたてつくとは上等だ」
「へ?」
「お前、自分が弱味握られてる立場だってこと、忘れてるみたいだなぁ?お前と立花の嘘、周りにバラしても構わないんだぞ?」
ま、周りにバラすって……つまり、玲央さんの仕事関係の人に言う、ということで。
口もとに笑みを浮かべてはいるものの、笑っていない目から怒っていることは明らかだ。それを察して血の気がサーッと引いていく。
「あ……えと、その」
「決めた。お前落として『立花の女奪った』って触れ回ってやるから」
「え!?」
それって、どういう意味!?
すぐに意味が理解はできなくても、その言葉にいい意味が含まれていないことだけは分かる。
顔色を青くしていると、関さんは私がテーブルに置いた一万円札を私の胸元にトン、と押し付け返す。
「次の日曜も空けておけよ。よろしく」
そしてそのひと言を残し、一足先に個室を出て行った。
……あ。これ、まずい。
完全に弱味、握られた。
ひとりその場に残された私は、この先待ち受けるだろう嫌な想像とともにその場に立ち尽くすことしか出来ずにいた。