旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「檜山さん、後ろの窓全開にしてもいいですか?」
「どうぞご自由に」
運転している彼に無断で窓を開けるのもどうかと思い、許可をとってから窓を開ける。
私側からも見える、続く海岸に、車内に入り込む潮の香り。思わず「わぁ」と声が出た。
「晴れてよかったですね!ホテルに荷物置いたら海に遊びに行ってもいいですか?」
「あぁ。俺はここの支配人に挨拶してから行くから、先に行ってろ。檜山、付き合ってやれ」
「……はい」
檜山さんの短い返事からは『いやだな、仕事だから仕方ないけど』と、渋々といった意味が伝わってくる。
そこまで嫌がらなくても……っていうか薄々感じてたけど、この人私のこと絶対苦手だよね。
本人が静かなだけに、私とは真逆。合わないのもわかるけど!
そんなことを考えているうちに到着し、私たちは荷物を手に車を降りた。
そこにあるのは海の目の前にどんと建つ、5階建ての横長いホテル。真っ白な壁が太陽に照らされて眩しい。
『南伊豆黒田ホテル』と書かれたそのホテルへ入ると、そこではスーツ姿の男性が出迎えた。