旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「どうした?なにかあったか?」

「あ……いえ、こちらの方が三浦さまにご用があるそうで」



三浦さまって……私?

まさか自分の名前が聞こえてくるとは思わず、ついドアの向こうを覗き込む。



すると、ひと気のない廊下で女性の後ろに立つのは、紺色のスーツを着た細身の姿……檜山さんだった。

彼は女性の背後からこちらを見て私の姿を確認すると、視線を関さんへ移して小さく会釈をした。



「どうも、ガーデンタワー東京の檜山と申します」

「あぁ、確か立花の秘書の……なんの用?」



顔を合わせたことがあるのだろう。関さんは檜山さんを見て少し驚きながらたずねる。

そんな彼に対して、檜山さんは無愛想なまま。



「立花社長から、彼女を引き取りに行くよう指示を受けまして」



え……?玲央さん、から?

檜山さんが現れたということだけでも驚きなのに、玲央さんから、という言葉に余計驚いてしまう。

それにはさすがに関さんもひどく驚いた様子で、呆れたように「ははっ」と笑った。



「立花から?よくわかったな、ここにいるって……GPSでもつけられてるんじゃないのか?」



檜山さんは関さんに特になにも答えることなく部屋に入ると、左手でテーブルに置いてあった私のバッグをつかみ、右手で私の腕を引っ張った。


< 210 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop