旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「どうした?なにかあったか?」
「あ……いえ、こちらの方が三浦さまにご用があるそうで」
三浦さまって……私?
まさか自分の名前が聞こえてくるとは思わず、ついドアの向こうを覗き込む。
すると、ひと気のない廊下で女性の後ろに立つのは、紺色のスーツを着た細身の姿……檜山さんだった。
彼は女性の背後からこちらを見て私の姿を確認すると、視線を関さんへ移して小さく会釈をした。
「どうも、ガーデンタワー東京の檜山と申します」
「あぁ、確か立花の秘書の……なんの用?」
顔を合わせたことがあるのだろう。関さんは檜山さんを見て少し驚きながらたずねる。
そんな彼に対して、檜山さんは無愛想なまま。
「立花社長から、彼女を引き取りに行くよう指示を受けまして」
え……?玲央さん、から?
檜山さんが現れたということだけでも驚きなのに、玲央さんから、という言葉に余計驚いてしまう。
それにはさすがに関さんもひどく驚いた様子で、呆れたように「ははっ」と笑った。
「立花から?よくわかったな、ここにいるって……GPSでもつけられてるんじゃないのか?」
檜山さんは関さんに特になにも答えることなく部屋に入ると、左手でテーブルに置いてあった私のバッグをつかみ、右手で私の腕を引っ張った。