旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「へ?ひ、檜山さん!?」



そしてスタスタと歩き出し、部屋をあとにする。

食事もごちそうになって、泊めてもらって、関さん相手とはいえさすがに失礼すぎる気が……!

ちら、と背後の彼を見るけれど、関さんは特に気に留めていないのか、ふっと笑みをうかべて軽く手を振ってみせた。



関さん……やっぱり、いい人なの、かも。

そう思いながら、長い足でスタスタと歩く彼に、慌ててついていく。



「あの……檜山さん?なんでここに……まさか本当にGPSを?」

「なわけないでしょう。俺が昨日たまたま見かけたんですよ、三浦さんの浮気現場」

「な!?」



う、浮気現場!?

ってまさか、駅前で私と関さんが会ったときのこと……?



「それを立花社長に伝えたら連れ戻すよう言われまして。とりあえずこっちをたずねてみたら、ビンゴだったってわけです」

「って、玲央さんに言ったんですか!?」

「ええ。そりゃあ当然」



れ、玲央さんに言ったなんて……!

結婚を断って家を出たあとに他の男といた、なんて私とんでもない女だと思われてるんじゃ……!?



けど、それでも『連れ戻すように』なんて……。話し合いたいと、向き合いたいと、思ってもらえてるってこと、かな。



戸惑いながらもそう考えながら、彼とどう向き合うべきか心は悩む。

けど、さっき関さんが言ってくれた。



『つりあわないとか言うなよ。あいつの気持ちを、否定してやるなよ』



否定せず、逃げることなく、向き合うべきだ。

彼の、自分の、気持ちと。




< 211 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop