旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「へ?ひ、檜山さん!?」
そしてスタスタと歩き出し、部屋をあとにする。
食事もごちそうになって、泊めてもらって、関さん相手とはいえさすがに失礼すぎる気が……!
ちら、と背後の彼を見るけれど、関さんは特に気に留めていないのか、ふっと笑みをうかべて軽く手を振ってみせた。
関さん……やっぱり、いい人なの、かも。
そう思いながら、長い足でスタスタと歩く彼に、慌ててついていく。
「あの……檜山さん?なんでここに……まさか本当にGPSを?」
「なわけないでしょう。俺が昨日たまたま見かけたんですよ、三浦さんの浮気現場」
「な!?」
う、浮気現場!?
ってまさか、駅前で私と関さんが会ったときのこと……?
「それを立花社長に伝えたら連れ戻すよう言われまして。とりあえずこっちをたずねてみたら、ビンゴだったってわけです」
「って、玲央さんに言ったんですか!?」
「ええ。そりゃあ当然」
れ、玲央さんに言ったなんて……!
結婚を断って家を出たあとに他の男といた、なんて私とんでもない女だと思われてるんじゃ……!?
けど、それでも『連れ戻すように』なんて……。話し合いたいと、向き合いたいと、思ってもらえてるってこと、かな。
戸惑いながらもそう考えながら、彼とどう向き合うべきか心は悩む。
けど、さっき関さんが言ってくれた。
『つりあわないとか言うなよ。あいつの気持ちを、否定してやるなよ』
否定せず、逃げることなく、向き合うべきだ。
彼の、自分の、気持ちと。