旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
ベッドの横に置かれた白いチェスト、背の高いガラスケース、窓際に飾られた観葉植物……ひとつひとつがこの部屋にも、現実世界ではないかのような雰囲気を漂わせる。
レトロ、アンティーク、ロマンチック……なんて言えばいいか、わからないけど。
今まであのホテルでしか接点がなかった彼の、日頃過ごす景色を見ることで、近づいたようで、いっそう遠くに感じる。
……別世界の人、だ。
心の中で小さく呟いた、その時。1階の方からガチャ、とドアが開く音がした。
ん?誰か、来た?
ノワール、は犬だからドアは開けられないだろうし……もしかして立花さんが忘れ物でもして戻ってきたのかな。
そう思い、階段をおりて1階へと戻った。
「立花さん?忘れ物ですか……」
そしてリビングを覗き込むと、部屋の奥にあるキッチンには、包丁を手にした初老の男性の姿。
それはどう見ても、強盗で……。
「ぎゃっ……ぎゃーーー!!泥棒!強盗ー!!」
「えっ!?いや、あの……」
「警察っ……あっスマホ部屋だ!だっ誰か!誰か来てー!!」
パニックになり悲鳴をあげる私に、その人は「違います!違うんです!」と慌てて包丁を置いた。
けれど信じられるわけもなく、完全にパニックになっていると、どこからか出てきたノワールはその人を見つけた途端シッポを振りながら大喜びで駆け寄る。
「あっ、ノワール!?」
そしてその人の足元にすりすりと顔をくっつけ、すっかり懐いている様子を見せた。