旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「へ……?」
そういえばさっき立花さん、ノワールには不審者にはとびつくようにしつけてあるって言っていた。
そのノワールがおとなしく懐いている、ということは……。
「強盗じゃ……ない?」
「はい、驚かせてすみません」
きょとんとした顔で言うと、そのおじさんは困ったように笑みを見せて物腰柔らかく謝る。
「こちらで調理師として働いております、長谷川と申します」
「長谷川、さん……あっすみません!私てっきり勘違いして……!」
「いえいえ、無理はありませんよ。ノワールのごはんの準備をしようとしていたのですが、怪しかったですよね」
この人が調理師だったんだ。あっ、だから包丁を!
思い切り悲鳴をあげてしまった自分が恥ずかしくて、ぺこぺこと深く頭を下げると、長谷川さんは責めることなく笑って許してくれる。
「新しいお手伝いさんですか?」
「あー……はい、そんな感じです」
自ら『立花さんの嫁です』なんてとてもじゃないけれど言えなくて、お手伝いさんの言葉を否定せずに頷く。
まあ、私の立場じゃ大差ないしね……。