旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
ベージュ色のタイルで作られた道を囲むように、鮮やかな緑の木や鉢植え、花々が彩る。
その先にあるガラス張りの小さなドーム型のチャペルの中には、長椅子と真っ白なグランドピアノが見えた。
友達の挙式の時は、ホテル裏の大きなチャペルでおこなったけれど、こっちにもチャペルがあったんだ。
小ぶりでかわいい。そのまま外でガーデンウェディングが出来るようにもなっているんだ。
でもチャペルの中にあるの、オルガンじゃなくてピアノだなんて珍しいなぁ……。
「杏璃」
まじまじと見ていると背後から呼ばれた名前に振り向く。
そこにいたのはスーツにベスト、ネクタイと上から下までビシッと決めた玲央さんだ。
前まではこの姿しか見たことがなかったのに、最近は家でのワイシャツ姿やTシャツといったラフな格好ばかりを見ているせいか、少し新鮮だ。
「玲央さん。USBってこれですよね?」
「あぁ。悪かったな、助かった」
持ってきたUSBをバッグから取り出し手渡すと、玲央さんは少し安心したように息を吐く。
すると玲央さんの後ろからは、続いてスーツ姿の細身の男性が足早にやってくる。
「立花社長、データの方は」
「無事受け取った。これでなんとか打ち合わせには間に合いそうだ」
玲央さんの秘書なのだろうか。私より少し年上だろうけれど、まだ若いのに落ち着きを見せる黒髪の彼に、玲央さんはUSBを見せて笑みを浮かべる。