旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「じゃあ、私帰りますね」
「あ……いや、待て。褒美を用意してある」
「ご褒美?」
って、なに?
まさかそんなものが用意されているとは思わず、きょとんと首を傾げると、彼は頷いた。
「実は今、ビュッフェの7月からの新メニューが決まったところでな。試食させてやる」
「えっ!?本当ですか!?」
試食、しかもビュッフェの新メニュー。それらの言葉に一気にテンションが上がり、思い切り食いつく。
そんな私に玲央さんはまたおかしそうに笑って頭をぽん、と撫でた。
「あぁ。ただし、あくまで試食だからきちんと感想や意見を述べること」
「了解です!」
それくらいお安い御用!と言わんばかりに気合い十分に頷いた。
「俺はこれから打ち合わせに入るから……檜山、彼女の試食に付き添って感想や意見メモしておいてくれ」
「かしこまりました」
少し忙しないようで、それだけを話し終えると「じゃあ頼んだ」と歩き出す玲央さんに、その場には私と『檜山』と呼ばれた無愛想な彼だけが残る。
やっぱり忙しいんだなぁ……。
もともと顔はいいから、黙っていてもさまになるけれど、仕事中の姿はいっそうかっこいい。
背筋を伸ばして歩く彼は、通りがかったお客さんひとりひとりに、「いらっしゃいませ」と笑顔で声をかけている。