旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「へ……?」
いきなり、なに?
驚ききょとんとしていると、目の前で立ち上がる玲央さんは上半身裸で、そのTシャツは彼が脱いだものなのだと気づく。
「アホ面してないで、さっさと体拭いて着替えて、俺の分の服とタオル持ってこい」
その言葉とともにフン、と鼻で笑われ、先ほどの『美味そう』発言が彼のからかいだったと知ると、からかわれた自分がますます恥ずかしい。
「っ~……玲央さんの変態!」
悔しくて、でも言い返す言葉がなくて、精いっぱい絞り出した情けない言葉を叫ぶ。
そして私は濡れた体もそのままに、逃げるように家の中へ向かった。
ま、まさか、押し倒してしまうなんて。あぁもう、私なにしているんだか!
水をかけて、転んで、押し倒して、からかわれて……恥ずかしい。
でもああして触れると、たくましくて、ごつごつとしていて、男の人なんだって感じる。
思えば男女同じ屋根の下にいても、全くといっていいほど異性を感じるようなことはないもんなぁ……。
まだちょっと、ドキドキしてる。
心を落ち着け、とりあえず急いで体を拭いて服を着替えると、私は玲央さんの着替えとタオルを手に裏庭へ戻った。