旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
ノワールの濡れた体をしっかりと乾かして、着替えた玲央さんとともにやってきたのは目黒駅近くのデパート。
「着いたぞ」
「は、はい」
駐車場に停まった車に、私は靴から土ひとつ落としてしまわないように、そろりと助手席から降りた。
き、緊張した……!
車を出してくれるなら、と気軽にお願いしたけれど、車庫に停めてあった彼の車はよく見れば左ハンドルの高級外車で……。
車種はわからなくても、それが高そうだとか、私には一生縁がなさそうな車だとか、それくらいのことはわかる。
ドアにキズをつけては大変だ、シートを汚してしまったら、足元に土を落としてしまっては。
そう気になって緊張して、たった10分ほどにもかかわらず全く落ち着かなかった。
そうだ。家には慣れて感覚が少し鈍くなっていたけど、玲央さんくらいお金持ちなら外車くらい乗るよね。
自分とは違う世界の人なんだと、また思い知る。
「買うのは洗剤だけでいいのか?」
「はい。あ、でも長谷川さんにも電話して必要なものあるか聞いてみますか?」
「そうだな」
話しながら地下にある食品や生活用品関係の売り場に向かおうとエスカレーターを探して歩く。