旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「お前はいつも、なに食べても美味そうに笑うな」

「だって美味しいですもん。食べることも大好きですし」



いつだって、美味しいものを食べると、幸せな気持ちに自然と笑顔になれる。

だけど玲央さんの前では、いっそう笑みがこぼれてしまう。



「……でも、玲央さんも笑ってくれますよね」

「え?」



その理由は、あなたもいつも、笑ってくれるから。

私の言葉の意味を問うように彼はこちらを見た。



「私、彼氏が出来ても上手くいかないんです。この食欲ですから、まぁ引かれて当然なんですけど」



えへへ、と笑みを作って話し始めるのは、普段は飲み込んだままの心に抱えた気持ち。

昔から、全く恋愛に縁がないわけじゃない。だけど誰と付き合っても、終わりは大体同じ形だ。



『うわ……引くって。お前と飯食うの、本当恥ずかしいよ』



そう言って、皆離れてしまう。



「『我慢しなくていいよ』って言われて素のまま食べると引かれて、でも我慢することは自分へのストレスになって……そのうち、愛も満足感もどちらも求めるからダメなんだって、気づきました」



女としての幸せとか相手がくれる愛情も、好きなもので満たされる満足感も、どちらもほしいなんて、そんなのただの欲張り。



『かわいいよ、杏璃』



出会った時のまま、そう言ってほしいのなら、本当の自分を隠さなくてはならない。

本当の自分を見せて、それごと愛してほしいだなんて、そんなことは無理だから。



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