俺様社長と付箋紙文通?!
今日も午前中にバリキャリ女史がドーナツカード片手にやってきた。おそるおそるカードを開くと、昨夜の失礼を詫びるコメントが書かれた付箋紙が貼られていた。それをテツ子さんに見せた。今日は淡いブルーの付箋紙だった。
“昨夜は済まなかった。トラブルがあっていくところができてしまった。お詫びにプレゼントがしたい。君の誕生日を教えてほしい”
読み上げたテツ子さんはキャーっと黄色い声をあげた。
「誕生日だって! で、教えたの?」
「付箋紙に書いてバリキャリさんに渡した」
「咲帆さんの誕生日は?」
「4月14日。でもいまは12月だし、まだまだ先なんだよね」
ふふうん?、とテツ子さんは意味ありげに笑った。
「つまりはすっぽかしたこと、許しちゃうんだ?」
「まあ……そういうことになるかなあ。あ、田中さん!」
管理人室のドアが開いて、ナイスミドルの田中さんが帰還した。私とテツ子さんとおせんべいを見つけてにんまりと笑う。とちぎ県民はせんべい大好き率も高い。おいしそうにせんべいをかじる田中さんが、ふと思い出したように私を見た。
「最近、エントランスパークで変な男を見かけないかい?」
「変な男?」
「ンだ。伊達眼鏡にマスク、スーツの男だべ」
「そんなの普通の支度ですよね?」
「だけんども、何をするわけでもなくパークでうろうろしてるって話だぁ。もし見かけたら管理人室まで連絡くれや」
「わかりました」
*−*−*
“食事ごちそうさまでした。すんごくおいしかったです☆ 誕生日は4月14日ですが、お気遣いなく☆”
俺は手元のドーナツカードを見つめる。今日の付箋紙はグレーだ。白抜きで雪の結晶が描かれている。その上に走る文字はブルーブラックのゲルインクで細め。相変わらずの丸文字。さきちゃん、か。サキコ、サキエ、サキヨ、それともストレートにサキか。
いや。あいつの名前などどうでもいい。ただ詫びはしないといけないと思っただけだ。いち社会人としてすっぽかしはよろしくない。
「宮下、4月の誕生石は」
「ダイヤモンドです」
「彼女にネックレスでも贈ってくれ」
「大きさやランク、予算はいかがいたしますか?」
「上限は決めなくていい。彼女の気に入ったものを」
「かしこまりました」
秘書の宮下が黒ぶち眼鏡の下でうすら笑っているのがわかった。
“昨夜は済まなかった。トラブルがあっていくところができてしまった。お詫びにプレゼントがしたい。君の誕生日を教えてほしい”
読み上げたテツ子さんはキャーっと黄色い声をあげた。
「誕生日だって! で、教えたの?」
「付箋紙に書いてバリキャリさんに渡した」
「咲帆さんの誕生日は?」
「4月14日。でもいまは12月だし、まだまだ先なんだよね」
ふふうん?、とテツ子さんは意味ありげに笑った。
「つまりはすっぽかしたこと、許しちゃうんだ?」
「まあ……そういうことになるかなあ。あ、田中さん!」
管理人室のドアが開いて、ナイスミドルの田中さんが帰還した。私とテツ子さんとおせんべいを見つけてにんまりと笑う。とちぎ県民はせんべい大好き率も高い。おいしそうにせんべいをかじる田中さんが、ふと思い出したように私を見た。
「最近、エントランスパークで変な男を見かけないかい?」
「変な男?」
「ンだ。伊達眼鏡にマスク、スーツの男だべ」
「そんなの普通の支度ですよね?」
「だけんども、何をするわけでもなくパークでうろうろしてるって話だぁ。もし見かけたら管理人室まで連絡くれや」
「わかりました」
*−*−*
“食事ごちそうさまでした。すんごくおいしかったです☆ 誕生日は4月14日ですが、お気遣いなく☆”
俺は手元のドーナツカードを見つめる。今日の付箋紙はグレーだ。白抜きで雪の結晶が描かれている。その上に走る文字はブルーブラックのゲルインクで細め。相変わらずの丸文字。さきちゃん、か。サキコ、サキエ、サキヨ、それともストレートにサキか。
いや。あいつの名前などどうでもいい。ただ詫びはしないといけないと思っただけだ。いち社会人としてすっぽかしはよろしくない。
「宮下、4月の誕生石は」
「ダイヤモンドです」
「彼女にネックレスでも贈ってくれ」
「大きさやランク、予算はいかがいたしますか?」
「上限は決めなくていい。彼女の気に入ったものを」
「かしこまりました」
秘書の宮下が黒ぶち眼鏡の下でうすら笑っているのがわかった。