俺様社長と付箋紙文通?!
彼に確かめようと、振り返ってビル玄関を見る。すでに設楽シャチョーの姿はなかった。
ぶんぶんぶん。いやまさか。でももし、そうだったら……。

設楽シャチョー……? きゃああああああ。



*−*−*



「指輪の引き取りはいかがいたしますか」
「俺が取りに行く」
「設楽社長はお忙しいでしょうから代わりに私が」
「いや、いい」
「俺が取りに行こうぞよ」
「う、うるさいっ!」


くそっ。どいつもこいつも俺を笑いものにしやがって。俺は立ち上がるとオフィスを出て、エレベーターに飛び乗った。

銀座の宝飾店で指輪を受け取る。内側には俺のイニシャルとサキホのイニシャルが刻印されている。腕時計を見れば約束の17時まであと10分だ。慌てて小箱をスーツのポケットに突っ込み、早歩きでビルに戻る。

そういえば今日はクリスマスだ。
きょう、告白する。



*−*−*

小麦畑をつぶして開発する予定だったショッピングタウンは少々規模を縮小して別の場所で進められることとなった。そこから5キロほど離れた元大学の校舎と近隣の耕作放棄地を利用し、年内にも着工予定とか。

今日持ってきたドーナツすべてを売り切って、私はドーナツカーを離れた。テツ子さんのオフィスを借りて、軽くメイクを直した。あのときの白いワンピースだ。胸元でダイヤのネックレスがきらりと光る。


「咲帆さん、かわいい」
「へへへ」
「今度こそだね」
「うん」


バンと背中を叩かれて更衣室を出る。私はエレベーターの前で昨日もらった付箋紙を広げた。


“明日17時、コーヒーショップKで。目印はサンフラワーシリーズのタイピン、モンテグラッパの万年筆”


2階に到着した。コーヒーショップKの前には長蛇の列。相変わらずの人気だ。私はその列のなかに彼の姿を探す。いない。

また来なかったらどうしよう……。ううん、絶対に来る。来るって信じてる。

ポンと叩かれた肩。振り返ると長身の彼がいた。にっこりと笑う設楽シャチョー。ネクタイにはひまわりのタイピン。胸のポケットにはマリンブルーの万年筆。これであの付箋紙に書き込んでいるんだ。


「“初めまして”か?」
「そうですね」
「やっと会えたな」
「うん」


はにかむ彼の顔を見つめる。さあ行こうか、と彼は手を差し出した。

(おわり)



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