少女に野獣。
「ッ………」


顎を掴まれ、上を向かされた


瞼を開ければ、うんと上から私を冷たい瞳で見下ろしていて…


冷たいのは瞳だけではなくて、顎を掴んでいる指先も氷のように冷たい


見つめるだけで、何も言わない


「…………?」


長い沈黙を破ったのは、


「おい、なに固まってんだよ。コイツどうすんだ?見られてんぞ。始末するか?」


金髪の人でした…


な、何も見てませんッ


だからどうか離して下さい…


「ッ……」


ぶんぶん頭を振っていると、私の腰を力強く腕が巻き付いて体が密着した


け、蹴られない…?


それでも、これから何をされるのか分からなくて、再び瞼を閉じた


「椿-ツバキ-、この子、連れ帰るから」


「ハ…?なに巫山戯た事言ってやがんだ」


「いやいや、本気だから」


フワッと体が浮いて、今度は開けないと誓ったのに、想像出来ない状況に再び瞼を上げると、、


背の高い黒髪に縦抱きにされていた



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