少女に野獣。
路地へ入り、少し進んだところで、


バキッ…ボキッ………ドサ…


そんな音が聞こえて辺りを見渡すと、


「ヒィ……も、もう許して下さ……グアッ…」


「………汚い手で、触らないでくれるかな…」


「若、そのへんにしとけ」


「まだこれからなんだ、けど……」


中年の男性らしき人を蹴り飛ばした、"若"と呼ばれた人が、こっちを向いた


若と呼ばれた人の隣にいた金髪の男性が、私を見て舌打ちをした


怖い……


薄暗くても分かる黒髪に鋭い目付きのをした"若"が、長い足で私の方へと近づいて来る


重い空気のこの場所から、すぐにでも立ち去りたいのに、、


体が硬直して動かない…


漆黒の瞳が私を捉えて離してくれない…


怖い……


ギュッと目を閉じて首をすくめていれば、"若"が私のすぐ近くで立ち止まった音がした


私も……あの男性の様に蹴られてしまうのでしょうか……





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