少女に野獣。
どれぐらい歩いたかな…


もう、あのお家が見えなくなって結構歩いたような気がするけど…


道行く人があまりにも私を訝しげに見るので、それはそうだろうと少し暗い路地で休憩中です…


午前中のように黒髪みたいな人達には、もう出逢いたくないので、道路のすぐ横に座り込みました


こんな寒い日にコートも羽織らず、タイツは破れて石がくい込んでいるのか、足の裏も痛い…


そりゃあ、誰だって変な子だと思われてしまいますよね…


どうしよう……


私が知っているのは、商店街の中とショッピングモールまでの道のりだけで…


車で連れて来られた場所で、夜なのにお昼みたいに明るいこんな場所を、私は知らないんです…


どうやって敦士さんの所へ帰れば良いのでしょうか…


「ッ……グズッ…」


堪えていたものが流れ出した頃、


「美依恋ーミイコーっ!?」


どこからか、私を呼ぶ声が聞こえた


膝に埋めていた顔を上げて周りを見渡すけど、敦士さんも猛も、私が知っている人は見当たらなくて…


帰りたい想いが幻聴を聞かせたのかな…


「美依恋ッ…!」


ッ………だ、れ……


私の名前を呼んで、私を優しく抱きしめるこの人は、、誰…?



< 20 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop