少女に野獣。
「何が食べたい?」と聞かれたから、「オムライス!」と伝えれば、笑って了承してくれた


「社長が社内で食べるなんて、珍しいこともあるもんだ」


ガハハと野太い声で笑う目の前の人は、コック服を着た料理人とは思えないような風貌をした男性


ガッチリとしたガタイに焦げ茶色の肌をした彼は、正真正銘この葵コーポレーションの食堂の総料理人だそうです


食堂と言うより、レストランみたいな高級感のある落ち着いた場所


食べている人達も、お洒落で大人な人ばかり


こんな大きな会社の社長さんを務めるなんて、糸夜さんって一体何者なんでしょうか…


「洋食なら、お前の料理が1番だと思ってね」


え…、、そんなに凄い人なんですか!?


「おいおい…っんな期待させんじゃねぇーよ…」


ポリポリと頭をかくコックさん


フフッ……


大きな体つきに似合わず、照れる姿が何だか可愛い


カウンター越しにいるコックさんへ腕を伸ばし、腕をトントンと叩いた


"楽しみです"と口の形で伝えれば、


「おう。任せときな!それにしても、社長には珍しくえれぇ可愛い娘じゃねぇか?いつもは綺麗めな…「無駄話はやめて、そろそろ仕事をしようか?」…へいへい…」


"おぉ怖ッ"って言いながらフライパンへ火をつけたコックさん


テキパキと動くコックさんを眺めていれば、隣から大きな舌打ちが聞こえてきた


10個ほどあるカウンターへ腰掛けているのは私と糸夜さんだけで、他のお客さん……いえ、社員証を首から掛けた従業員の方たちはいくつかに別れた丸テーブルで楽しそうに食事をしている


何に対してのソレなのか、子どもな私には到底想像もつきませんけど、怒っているのは分かります


「………<font size="1">どいつもこいつも</font>……」


表情はいつもの彼なのに、ビー玉みたいに綺麗な瞳は鋭く怖い目つき


何に対して、怒っているのでしょう…?



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