少女に野獣。
それからは、糸夜さんの行動を逐一見るようになった


私生活で気付いたことは、


お風呂へ入っている時間が物凄くはやいこと


部屋着の糸夜さんは、学生だと言われても通用するぐらい若く見えること


悔しいけれど、私よりも料理がとても上手なこと


テレビはあまり見ず、英語の分厚い本を毎晩読んでいること


それから、仕事をする彼にも沢山気付いたことがある


キーボードを打つのが私よりも速いこと


敦士さんに褒められる、私の唯一の特技だったのに…


珈琲はブラックが好きなこと


仕事中は集中しているのか、無言でいること


それと…、、


「社長、そろそろお昼になさっては?」


「……そんな時間か。ありがとう。美依恋ちゃん、お昼にしようか」


糸夜さんの行動を全て把握している秘書さんの、百合さんへ絶大な信頼を置いているということ…


「何か、頼まれますか?」


「いや、外で済ませてくるから、君は好きな物を頼みなさい」


「………、畏まりました…」


百合さんからの、私だけに向けられる冷たい視線…


社長室の隣にある部屋が、百合さんのいる秘書室になっていて、2人は常に一緒にいるみたい


そんな、仲の良さそうな2人


百合さんは糸夜さんのことを"社長"と呼ぶけれど、糸夜さんは呼び捨てですし…


"美味しかった"と飲み干したカップを百合さんへ渡す彼と、嬉しそうに頬を緩ませる百合さんは、まるで恋人同士のようで…


もしかしたら、それが本当なのかもしれない


また、胸の奥がキリキリと痛みだす


私が2人の邪魔者で、この場にいることが間違いではないのでしょうか…?





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