わたしは一生に一度の恋をしました
 学校に到着すると、もう三島さんは学校に着いていて問題集を解いていた。

 わたしの顔を見ると、笑顔を浮かべる。だが、その笑顔が一瞬のうちに消え去った。

「大丈夫?」

 わたしは三島さんの言葉に我に返り、涙を手の甲で拭った。

「大丈夫」

「一人で溜め込むなよ。いつでも話を聞くから」

 三島さんの言葉に再度涙が溢れそうになる。わたしは何でこんなに幸せなのだろう。わたしのことを心配してくれる人がここには沢山居る。

「心の整理が付いたらきちんと話すから、もう少し待って」

 わたしの言葉に三島さんはそれ以上追求せずに、ハンカチを鞄から取り出してわたしに渡してくれた。

「ありがとう。勉強しないとね」

 わたしは彼から借りたハンカチで涙を拭いながら笑顔を浮かべていた。

 だが、その日はほとんど勉強が手につかず、一時間ほどで切り上げて家に帰ることになった。
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