わたしは一生に一度の恋をしました
 いつから彼の目が潤んでいたのだろうか。
 わたしと同じように最初からそうだったのかもしれない。

「ずっと迷いがあった。このまま会わないほうが、お前も別の誰かと一緒に人生を歩んだほうが幸せになれるんじゃないかと。でも、一目見たらそんな気持ちが一気に吹き飛んでしまった」

 三島さんは苦笑いを浮かべていた。

 許されるなら、彼と一緒にいたい。
 彼もわたしと同じだったのだ。
 そして、真一はそれに気づいていたのだろう。

 何を迷っていたのだろう。

「やっぱりお前が好きなんだって、思い知らされた。今も昔も」

 わたしの視界がよりぼやけて見えなくなる。涙を抑えるために軽く唇を噛んだ。そして、十年間、心に抱き続けてきた思いを言葉に乗せる。

「わたしもずっとあなたが好きだった」、と。


                          終
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