わたしは一生に一度の恋をしました
「ほのかからしたらそうかもしれないね。でも僕は昔から君のこと写真で知っているから、昔からの知り合いみたいな気がして。嫌?」

 わたしは真一の言葉に首を横に振った。照れくさいだけで嫌なわけではなかった。彼は笑顔を浮かべている。

 わたしの中に一つの疑問が湧き上がった。わたしは真一を見ると、首を傾げた。

「写真って何?」

「それは秘密。ばらしちゃうと困るやつがいるから」

 困るやつと聞いてわたしは首を傾げる。わたしの知っている人は祖母と千恵子さん、三島さんに真一、あと由紀さんだけだった。この中の誰が困るというのだろう。だが、真一の悪戯っぽい笑みを見ていると彼はわたしの疑問には答えてくれない気がした。


「もし、何か困ったことがあったら何でも言ってくれよ。出来るだけ力になるから」

「ありがとう」

 わたしは真一の好意を素直に受け取ることにした。

 わたしは昼食を食べ終わると、真一と別れ教室に戻ることにした。


 教室に戻ったわたしを待っていたのは、西岡さんだった。彼女はわたしをじっと見た。

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